東京大学 近藤先生ゼミ 座談会

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テキストインタビュ先生のプロファイルゼミ生プロフィール
CL cengage-int-logo_32x31 本日はお忙しい中、お集まりいただいてありがとうございます。
まず、お一人ずつ、簡単にご研究分野をご紹介いただけますでしょうか。
矢吹 矢吹さん_32x32  矢吹です。研究のテーマは、19世紀後半から20世紀初頭のイギリス海軍史を対象としていまして、特に太平洋や極東での防衛構想について研究しています。
CL cengage-int-logo_32x31 18世紀そのものではなく、その後の時代ということですね。
矢吹 矢吹さん_32x32 はい。
CL cengage-int-logo_32x31 ECCOについてもご興味が。
矢吹 矢吹さん_32x32 はい、自分の研究で利用したことはないですが、トライアル期間中にレポート作成のために何度か利用したことがあります。
確か19世紀についてもデータベースを今後出されるということをうかがっているので、その辺もお話を聞きたいと思っています。
あとこの間「Times Digital Archive」がトライアルのときに使わせていただきました。
CL cengage-int-logo_32x31  そうでしたか、ありがとうございます。
CL cengage-int-logo_32x31  伊東さんは。
伊東 伊東さん_32x32 僕も同じ19世紀のほうです。具体的には、動物園、もう少し広く言うと、
自然史とか「Natural History」とか言われる分野です。
それから今、人と動物との関係がどのように変わっていったかというところに興味を持っています。
CL cengage-int-logo_32x31  18世紀の資料もお使いになることはありますか?
伊東 伊東さん_32x32  そうですね。そんなにたくさんではないのですけど、必要になることがあるので、使用しています。
CL cengage-int-logo_32x31  なるほど。久保山さんは。
久保山 久保山さん_32x32  僕は18世紀のイギリス史、特にスコットランドの政治史、政治と社会をやっていますが、ほとんど毎日使っています。
CL cengage-int-logo_32x31  ありがとうございます。
久保山 久保山さん_32x32 もう、修士論文のときから使っているのですが、稲垣君と同じで、あれがなければ、危なかったんじゃないかと思っています。
CL cengage-int-logo_32x31 ちなみに修士論文のテーマは?
久保山 久保山さん_32x32 1725年にスコットランドのグラスゴーという町で、民衆騒擾、つまり暴動が起きたのですが、それについて詳しく調べました。それについて書かれた当時の小さな20頁くらいの論説、パンフレットがかなり出ていて、それがほとんどECCOで見られました。また、それだけではなく、他のいろいろなものもECCOで見て、修士論文で使いました。
あと、早稲田では「The Making of the Modern World」のほうも毎日、どんどん使っています(笑)。
CL cengage-int-logo_32x31  ありがとうございます。後藤さんは。
後藤 後藤さん_32x32  私は17世紀を主に専門にしていまして、具体的には大陪審制、また、大陪審を通じて、近世イングランドの国家や統治、地域社会について考えています。17世紀なので、18世紀のECCOはメインには使っていないのですが、1700年代の最初のほうをみる場合や、あとは19世紀以降に復刻されてくる本の原本が載っていることがあるので、そういったときに活用しています。
CL cengage-int-logo_32x31  なるほど、ありがとうございます。鰐淵さんは。
鰐淵 鰐淵さん_32x32 僕は、イギリス史ではなくて、18世紀の植民地時代アメリカのことをやっております。具体的にはペンシルヴァニアという植民地の政治史および社会史、政治文化史といったことに関心がありまして、今、修士論文の準備中です。

もともと駒場のアメリカ太平洋地域研究センターに「Early American Imprints」というマイクロ資料がありまして、多分かなりECCOと内容は重なっていると思うのですけど、マイクロとちがってECCOは全文検索ができるということで、かなり使い勝手が違うので、多分そっちに移行すると思います。

CL cengage-int-logo_32x31  アメリカの資料もだいぶECCOの中で見つけられましたか?
鰐淵 鰐淵さん_32x32 そうですね、結構探しているのですけども、やっぱり、著作が多いということで、これまでこっちの方で見た物を見てみると、それがひとつのところだけじゃなくて、いろいろなところで、例えばロンドンでも印刷されていたということもあって、最近はそういうものも調べています。
CL cengage-int-logo_32x31  ありがとうございます。稲垣さんは。
稲垣 稲垣さん_32x32 今年の春に卒業論文を書きまして、まだ修士1年なのですけれども、研究したいと思っているのは、18世紀の終わり頃から19世紀前半くらいにかけて、イギリスのキリスト教がどんどん教会を作って海外に出て行くという、ミッション運動です。
なかでも注目している人物で、
ウィルバーフォース(William Wilberforce, 1759-1833)という
人がいるのですけれども、もう1780年代くらいから活動しており、本も書いていますので、ECCOではウィルバーフォースの著作やミッション関係のパンフレットなどを見ています。パンフレットは数が多くすべてを見てみることは実はまだできていませんが、著作を見るにしても、初版がどういう形で出たのかというのは日本では見られないですから、そういう面では活用させていただいています。
CL cengage-int-logo_32x31 ありがとうございます。
“マイナーな人のことがよく分かる”
CL cengage-int-logo_32x31 さて、皆さんがこれまでECCOを使われて、「こういう検索をやってみたらこういうものが引っかかって面白かった」というような例はありますか?
久保山 久保山さん_32x32 “Japan” とか。
CL cengage-int-logo_32x31 “Japan” でやっても結構面白いですよね。
久保山 久保山さん_32x32 面白いですね。
近藤 近藤先生_32x32 それ、日本だけが出てくるわけじゃないでしょ?
久保山 久保山さん_32x32 全然違いますね。
近藤 近藤先生_32x32 漆器、漆塗りとか、その代用品とか出てきますよね。
CL cengage-int-logo_32x31 確かに私も以前、”Japan” で検索したら、国よりも「漆塗り」なのですね。それは面白いな、と思いました。やっぱり、日本人はまず “Japan” でやってみますよね(笑)。習性なのかもしれない。
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久保山 久保山さん_32x32 もう少しアカデミックな例でいうと(笑)、例えば、
デフォー(Daniel Defoe, 1660-1731)とか
スウィフト(Jonathan Swift, 1667-1745)とか、今でも有名な18世紀の小説家の書いたものの挿絵があるかどうかを見てみたり、ヨーロッパで16世紀から17世紀に出たものが英語で翻訳されたときにどうなっているのかということを、挿絵もそうですけれども、どう変わっているのか、そういうことをひまなときに検索して楽しんでいます。
CL cengage-int-logo_32x31 挿絵もなかなか面白いものがありますよね。
久保山 久保山さん_32x32 それは楽しめますね。
CL cengage-int-logo_32x31 私がECCOのデモをやるときは、必ず “Nagasaki” という単語で検索して、時代順に並べると
ケンペル(Engelbert Kaempfer, 1651-1716)の『日本誌』が出てくるのですね。そして図版のところをお見せすると、誰が見てもそれなりに面白い。絵はわれわれ素人でも分かりやすくて面白いポイントだと思います。
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CL cengage-int-logo_32x31 研究で使われるときには、まず研究対象を検索語としてやってみるのが一般的でしょうか。
稲垣さんでしたら “Wilberforce” とか。
稲垣 稲垣さん_32x32 そうですね。「Full Text」で入れて、ざっと検索結果を上から表題だけ見ていっても、誰がウィルバーフォースを好きで、誰が嫌いかとかというのが、「Critique」とか「ウィルバーフォース氏を批判する」のようなものが出てきたりして、分かったりしますね。
CL cengage-int-logo_32x31 それは、必ずしもウィルバーフォースの著作ではないわけですね。
稲垣 稲垣さん_32x32 ええ。いつどこで誰が言及しているかが分かるところが、すごく便利なところだと思いますね。
近藤 近藤先生_32x32 そうですね。検索するときに「Author」とか「Keyword」でも、まあ当たるけれども、やはり「Full Text」で検索すると本当に意外なものがヒットして、それが新しい発見につながります。
CL cengage-int-logo_32x31 なるほど。別のデータベースについての話ですが、ハーバード大学の先生でロスチャイルド家の歴史を書いたニール・ファーガソン(Niall Ferguson) という人が、もう少し早く「The Making of the Modern World」が存在していたら、もっと多くの参考文献を載せられたのに、というようなことをおっしゃっていました。著者やタイトルに “Rothschild” が含まれるものは目録でも出てくるのですが、本文中の言及はこういうデータベースでないと出てこないので。
矢吹 矢吹さん_32x32 あと、ODNB(Oxford Dictionary of National Biography)には出てこないような個人名で検索しても、たくさん出てくるのです。
特に、ECCOの中に「Almanac」、いわゆる年鑑がすごくたくさん、しかも版の違うものを含めて収録されています。個人名で検索すると、例えばその人が陸海軍の将校であればどういう風に昇進していったかまで、わかるのですよね。
CL cengage-int-logo_32x31 それもひとつの研究ですね。
久保山 久保山さん_32x32 そう。有名じゃない人、マイナーな人のことがよく分かる。
矢吹 矢吹さん_32x32 そういう人を調べられるのはとても便利です。
近藤 近藤先生_32x32 それが実はいちばんのメリットかもしれません。DNBなどに載っているようなものは、そちらでかなり信頼できる情報が得られるわけだし、それこそ『ロビンソン・クルーソー』や『ガリバー』のような有名な作品は、もう活字になったもので読めたりするわけですが、かなりマイナーな人や作品、あるいは言葉遣いなどについて調べるときに、フルテキストの検索は威力を発揮しますよ。従来絶対できなかった研究ができます。
CL cengage-int-logo_32x31 先生にこの間お話をうかがったときにも、これまでの正典が崩れ、研究の「民主化」が起こるということをおっしゃっていたのですけれども、今、具体的な例を挙げていただいて、大変納得がいきました。
CL cengage-int-logo_32x31 今の話とも少し重なるのですけれども、こういうフルテキスト・データベースを導入していくことで、今後、研究はどういう風に変わっていくと思われますか?
久保山 久保山さん_32x32 言葉の使い方が調べられますよね。フルテキストでひとつの言葉を検索すれば、たくさん出てくるじゃないですか。それから、検索結果の並べ替えができますよね、時代順にざっと並べたり。
僕は試しに、ある言葉が本のタイトルの中で使われている頻度がどのくらいなのかを検索してみたことがあるのですが、そうしたら多い時期と少ない時期がとても明確に分かれていました。今までのCD-ROMデータベースなどだと、タイトルでは検索できたのですけれども、今回はフルテキストまでできるので、それらを照らし合わせて、50年とか100年間の言葉の使われ方や頻度が調べられる。おおざっぱなものですけどね、入り口としては使えます。
その辺がかなり変わったと思います。
CL cengage-int-logo_32x31 なるほど。ありがとうございます。同じ言葉の時代によって変わってくるといったことを、ECCOの中で見つけられたことはありますか。
近藤 近藤先生_32x32 ECCOじゃなくても、後藤さんは、EEBOであったら、どういう風に使っているのですか?
後藤 後藤さん_32x32 私は「Grand Jury」に言及があるパンフレットを探したり、題名や著者名の一部しかわからないものを特定していくのに使ったりしています。語義の変遷ではないですが、大陪審の採決が問題になった事件の直後に大陪審に関するパンフレットが複数出ていることがわかったり、時代による関心の高まりを見ることができました。一連のヒットしたものを見るだけでも、時代によって使われる語彙や強調される点が変わってゆくのもわかって面白いですね。
”昔はコピーとるのが大変だったのです”
CL cengage-int-logo_32x31 使い方の話に移るのですが、みなさんが具体的によく使う機能はありますか?
久保山 久保山さん_32x32 同じ作品の版が違うのとか、年が違うことによって違う版が分かりますよね。出版年が指定できるじゃないですか。あと出版地ですよね、ロンドンで出たものとか、エディンバラで出たものとか、いろいろ検索できますよね、だから片っ端から使っていますね。それは便利です。
鰐淵 鰐淵さん_32x32 僕は植民地でも、
ベンジャミン・フランクリン(Benjamin Franklin, 1706-90)という人物に興味があって、彼のことを周辺のことからやっていこうと思って見ています。そうすると、例えば電気の実験などに関する彼の著作はいろいろなところで出版されているので、探すときに出版地に “Philadelphia” と入れたりするだけで見たいところを絞れるというのは、面白いなと思っています。
CL cengage-int-logo_32x31  従来でしたら書誌でしかできなかったのが、いきなり本文が見られる。
鰐淵 鰐淵さん_32x32 それももう、全部パッと見られる。
CL cengage-int-logo_32x31 そうすると、だいぶ「省エネ化」という…
久保山 久保山さん_32x32 そうですね。昔だったら本当に紙でいろいろと、ひとつひとつ調べて、見落としがちなものもあったのですが、そうではなくて、言葉を入れて検索すれば、出てくる。並べ替えもいろいろできますし、何年から何年に出たものとか、指定ができますので。僕が修論をやっていたときには、ある事件より前に出た物か、後に出た物か、年度を区切って検索したらピンポイントで見つけることができました。それこそ〈省エネ〉ですかね。スピードの早さが手軽すぎて。それまではマイクロフィルムで…
近藤 近藤先生_32x32 しかも、マイクロが全然読めなかったりしてね(笑)。
久保山 久保山さん_32x32 たどり着くまでに一苦労だったのが、今では家にいてできるというのがすごい。外部アクセスができる場合だとそうですけれども。あとは、それでなくても大学に来てやればいいわけですものね。
近藤 近藤先生_32x32 それとね、これまではイギリスのブリティッシュ・ライブラリーなどで稀覯本の複写を頼むとするでしょう。係員の機嫌をうかがいながら(笑)、大変だったわけですよ。いざ、コピーができてきても、日本では考えられないような劣悪なコピーだったりしたのですね。それがこのデータベースなら自分でダウンロードできて、プリンターからとてもきれいに印刷できます。その手間のちがいはすごいですね。そのストレスが昔は大きかったから、みなさんはあまり感じてないかも知れないけど、今のブリティッシュ・ライブラリーになる前の、ブリティッシュ・ミュージアムの中のノース・ライブラリーというところは、本当にカウンターの担当職員の雰囲気が悪いところだったのですよ。コピーを取るのが大変だったのです。
CL cengage-int-logo_32x31 みなさんは、ECCOを使うときに、何十分とか、何時間とか、続けてどのくらい使われますか?
稲垣 稲垣さん_32x32 トライアルのときは、朝までやっていたこともあります(笑)。
近藤 近藤先生_32x32 だって、いつ終わりになるか分からないですから。
久保山 久保山さん_32x32 僕もトライアルができたときは、ほとんど徹夜で、片っ端からダウンロードして。
後藤 後藤さん_32x32 やり始めると止まらない。(笑)
久保山 久保山さん_32x32 何時間もやっちゃいますよ。
後藤 後藤さん_32x32 やり尽くす。
久保山 久保山さん_32x32 そう。いろいろなキーワードで検索して、これもやってみよう、あれもやってみようという感じで。出てくると、とりあえず読むのはあと回しにして、全部保存していましたね。何時間…いや、きりがないですね。
CL cengage-int-logo_32x31 そうやって見つけられたものは、ダウンロードされるのですか?プリントアウトされるのですか?
久保山 久保山さん_32x32 僕はダウンロードして、それを両面プリントアウトして、冊子みたいにします。
CL cengage-int-logo_32x31 結局は冊子にした方が、やはり使いやすいですか。
久保山  久保山さん_32x32 その方がなんか、僕は安心するのですけど。やっぱりプリントアウトした方が。
CL cengage-int-logo_32x31 確かにそうですね。
久保山 久保山さん_32x32 画面で見ているとあまり読んだ気がしないことがある。線が引けないし。
CL cengage-int-logo_32x31  そうですね。線を引くのは大事ですよね。画質はどうですか?マイクロフィルム程度とは言われていますけれども。
後藤 後藤さん_32x32  それよりは見やすい。白が明るい。
CL cengage-int-logo_32x31  コントラストが。
久保山 久保山さん_32x32  プリントアウトしたときに、マイクロは、白いところがかなり灰色がかっているのですよね。それがECCOだと本当に白のままで出てくるので、それは便利だと思います。(笑)
CL cengage-int-logo_32x31 ありがとうございます。
久保山 久保山さん_32x32  ただ、本によっては綴じがとても強くて、フルに開けなくて、ノドの部分が読めない。現物だとこうやってできるんですけど(本をのぞきこむしぐさをする)、パソコンの画面ではそれはできないので(笑)。物によってはそういうのがけっこう著しかったりして、ちょっとそこだけ困りますけどね。
後藤 後藤さん_32x32  マイクロのときと、デジタルになってからを比べたわけではないのですが、ちょっとかすれて白くなってしまっているのが多いこともあるかもしれない。
近藤 近藤先生_32x32  白さが過度に強調されているのじゃない? だから、地の文が薄くなって、かすれている場合はありますよ。
後藤 後藤さん_32x32  フルテキスト検索にしたときに、引っかからなくなることがけっこう起きているような気がするのですが . . . 。
CL cengage-int-logo_32x31 そうですね、読まれていないかも知れないですね。
後藤 後藤さん_32x32  そうすると、同じページで同じ単語でも、ヒットしていたり、いなかったりということがありました。
CL cengage-int-logo_32x31 光学文字認識(OCR)の精度はいかがですか?
稲垣 稲垣さん_32x32  ひとつ、イタリックが多分、落ちるのですよ。
久保山 久保山さん_32x32  可能性が高いですね。
後藤 後藤さん_32x32  落ちやすいですね。
稲垣 稲垣さん_32x32  議会資料を、本当は全部見ればいいのですけど(笑)、この人が発言している部分だけ欲しいといったときに、検索すると、その名前だけ斜字なのですよ。それが全部落ちるから、本文中で批判されているのは分かるのですけど、本人の発言にたどり着けないというのがありました。
近藤 近藤先生_32x32  イタリックは落ちていますかね。
久保山 久保山さん_32x32  落ちる可能性が、ちょっと高めです。
稲垣 稲垣さん_32x32  自分は落ちていました。
CL cengage-int-logo_32x31  ローマン体に比べると、少し精度は落ちるかも知れないですね。
後藤 後藤さん_32x32  あと、ロングSとか、今はない活字が落ちていることがある。
近藤 近藤先生_32x32  Sは、意識的に拾っているのじゃないですか? 長いS。
CL cengage-int-logo_32x31  一応そうですね。なるべくロングSも拾うように。
近藤 近藤先生_32x32  なるべく(笑)。それは、どうやっているのですか。
CL cengage-int-logo_32x31 当時の単語のシソーラスのようなものを作ったらしいです。
後藤 後藤さん_32x32  ただ、Fuzzy Search(あいまい検索)でレベルを「High」にしてしまうとほとんど出てくるので、あまり関係はないのですけど。
CL cengage-int-logo_32x31 Fuzzy Search も、結構活用していただいていますか。
後藤 後藤さん_32x32 そうですね。
久保山 久保山さん_32x32  あれは便利ですね。
後藤 後藤さん_32x32  基本的にFuzzy Search で検索しますね。
CL cengage-int-logo_32x31  私共も、検索の精度について聞かれたときに「Fuzzy Search のほうもお使いください」というお答えをよくしています。
久保山 久保山さん_32x32  あと、ヒットした単語に色が付くのは良いですね。あのポイントがいい(笑)。すごく便利です。
後藤 後藤さん_32x32  あと、飛べるのもすごくいいですね。
近藤 近藤先生_32x32  色だけじゃなくて、200頁、300頁の本であっても、その「何頁」と指定されますよね。あれが出なかったら探せない。
CL cengage-int-logo_32x31 みなさんは、ネット世代そのものか、それに半分かかってらっしゃる方々だと思うのですけど、ネットの快適さと、ECCOの快適さとを比べたときに、どうでしょうか。
鰐淵 鰐淵さん_32x32 新聞が収められてないのですよね。
近藤 近藤先生_32x32 そうそう。雑誌も。定期刊行物は入れないという方針ですよね。
CL cengage-int-logo_32x31  そうですね。原則として、モノグラフです。
近藤 近藤先生_32x32  これは著作権とか、何かあるのですか?
CL cengage-int-logo_32x31 そういうことではないと思うのですけども、
近藤 近藤先生_32x32 あまりにもたくさんあるから。
CL cengage-int-logo_32x31 マイクロが母体になっていますので、マイクロを撮影したときに、そういう基準を設定したのだと思います。
近藤 近藤先生_32x32 それで、新聞のマイクロは既に商品になっているのが多いですよね。地方の新聞でもね。その版元が他の会社だったりして、版権が違うので、ゲールとしては入れることができないとか、そういう理由ですか?
CL cengage-int-logo_32x31 ひょっとしたらそれも関係あるかもしれないですね。
CL cengage-int-logo_32x31 先ほどちょっとイタリックのことをおっしゃっていただいたのですけれども、ECCOで、こういうところを改善してくれたらな、というご提案はありますか?
矢吹 矢吹さん_32x32 ダウンロードの仕方は改善していただきたいですね。ページをいちいち指定しないといけないのですよね。多分ほとんどの人が、全部ダウンロードしたい(笑)。そういうときに、特に何百ページという著作だと、何回も数字を入れ替えて入力しないといけないので、そこがちょっと。
CL cengage-int-logo_32x31 確かに、一度に50ページまでという制限があるのですよね。あれはべつに、著作権の関係ではなくて、サーバーの負荷の関係であのようになっているのです。
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久保山 久保山さん_32x32 最初はでも、10ページだったですよね。
CL cengage-int-logo_32x31 そうですね。だいぶ改善はされています。
久保山 久保山さん_32x32 50ページになっただけでも、革命的だったよ。
後藤 後藤さん_32x32 「連続でダウンロードする」というオプションをつけるとか。
CL cengage-int-logo_32x31  なるほど。検討させていただきます。
後藤 後藤さん_32x32 あと、サイテーションをメールで送るときに、テキスト形式かHTML形式を選ぶようになっていますが、あれを、例えば書誌情報を管理するソフトウェアに取り込めるような形で落とすことができると、後から自分で検索できる形で残るのでいいと思います。
CL cengage-int-logo_32x31 そうですね。今、潮流としては、そういう機能が主流になってきていて、私共でも、他のデータベースでは既に実現しているものもありますので、徐々にそのようになっていくと思います。それも本社に意向をお伝えしたいと思います。
CL cengage-int-logo_32x31 フルテキスト検索で研究が楽になったのですが、逆にその弊害のようなことはあると思いますか?
後藤 後藤さん_32x32 やることはすごく増えました。なんでもとりあえずは確認してみないといけないうえに、たくさんヒットしてきてしまえば、見なければいけなくなるので。
久保山 久保山さん_32x32 楽をしすぎる、というのもありますよね。
僕も修論をやっているときに、スコットランドのグラスゴーという街がどういう街なのかというのを、当時のガイドブックがあって、スコットランド人というのはこのような人たちで、このような街で、とか、 “Glasgow” で検索すると見事に出てくるので、そこだけ拾ってやってしまうのですけど、そうするとなんだか、全体像がわからないですよね。ピンポイントで拾うことができてしまうので、ずっと読んでいて「ナニ? 出てきた!」という本当に泥臭いのではなくて、あったら「ああ、じゃあ拾っていくか」という感じになってしまうので。ちょっと知識が、断片化してしまう可能性がありますね。それは少し危険な感じがします。弊害といえば弊害です。
後藤 後藤さん_32x32 そこに出てこなかったものは「ない」ことになるので(笑)。
CL cengage-int-logo_32x31 それはあるかもしれないですね。
後藤 後藤さん_32x32 単にそれはフルテキスト検索から落ちているだけのことかもしれないけれど。
久保山 久保山さん_32x32 不思議だったのは、フルテキストで検索して引っかかったものを、その引っかかったものの作品の中で更に検索しようとすると、「この作品は検索できません」って言われたことが…ありません?
近藤 近藤先生_32x32 「検索できません」じゃなくて、ヒットしたのに「該当箇所はありません」というメッセージが赤字で出ることがありますね。
久保山 久保山さん_32x32 ああそう! 赤字で出る。
近藤 近藤先生_32x32 あれは不思議だよね。どういうことかよくわからない。
CL cengage-int-logo_32x31 それは、ご説明できます。
久保山 久保山さん_32x32 できませんって言うのかと思った(笑)。
CL cengage-int-logo_32x31  あれは、フルテキスト検索のときには、だいたいタイトルと、著者と、書誌情報などを探していることがあるのですね。それで、書誌情報には出てきているけど、本文中には出てきていない単語がヒットすると、ハイライトできない。そういうときに赤字が出てくるという仕掛けになっているみたいです。そういう時には、サイテーションのほうのページを見ていただくと、その単語が出てきたりします。
近藤 近藤先生_32x32  ではそれは、メッセージの通り「本文にはない」というふうに理解していいのですね。
CL cengage-int-logo_32x31  そうです。
久保山 久保山さん_32x32  あとは、マイクロフィルムのものが、どれだけオンラインで見られるのかということですね。元々のマイクロ・コレクションとリリースの時期が違うじゃないですか。それが、どのような基準でその増やしているのかとか、どのくらいの割合でマイクロのものが見られるのですか?
CL cengage-int-logo_32x31  ECCOに関しましては、一応お尻が決まっていまして、マイクロフィルム版は「ユニット」という単位で刊行されていたのですけど、ユニットの1から371まで、1万2千985リール分だけが入っているということになります。
久保山 久保山さん_32x32  マイクロの「The Eighteenth Century」は1万4千何百リール…
CL cengage-int-logo_32x31  そうなのですよ。
久保山 久保山さん_32x32  ということは、2千リール分ぐらいは、
CL cengage-int-logo_32x31  まだ入ってないのです。
久保山 久保山さん_32x32  「まだ」ということは、これから入るのですか?
CL cengage-int-logo_32x31  現時点では、マイクロの刊行と並行してデータベースの中身が増えているわけではないのですよ。いったんユニット371で切って「ここまでをECCOに入れる」ということで作りましたので。おそらく、あとで「補遺」のような形で残りの部分がまた有償で加えられるかもしれないのです。
久保山 久保山さん_32x32  前から気になっていたのですけど、ECCO自体は、マイクロ・コレクションの「The Eighteenth Century」を超えるものではないのですね?
CL cengage-int-logo_32x31  そうですね。マイクロがあくまでも先行していますので。まずマイクロを撮ったものをスキャニングして、という順序で作られていますので、今のところそういうことになります。
久保山 久保山さん_32x32  では「The Eighteenth Century」に入ってないものは、基本的に

は入らない?

CL cengage-int-logo_32x31 入らない、ということになります。これから新しく企画されている商品は、もう初めからデジタルカメラで撮り下ろしというケースも増えています。いちいちマイクロに焼かなくても、今はデジタル画像を逆にマイクロに焼くこともできるらしいので、媒体はいくらでも可変になってきています。
久保山 久保山さん_32x32  19世紀のデータベースのほうは?
CL cengage-int-logo_32x31  今、19世紀の雑誌のデータベースとか、新聞のデータベースを作っておりまして、それには一部、色も入れようという話になっています。19世紀は特に、風刺雑誌とか、きれいな色の入っているものがありますよね、石版画とか。
近藤 近藤先生_32x32  「Illustrated News」とかね。
CL cengage-int-logo_32x31  そうですね。そうすると、従来のECCOのような、まったく濃淡のない白黒だけだと、石版画のようなニュアンスがあるものは難しいので。
近藤 近藤先生_32x32  なるほど。
CL cengage-int-logo_32x31  だんだん、技術とか、サーバー容量とか、いろいろな要素で少しずつそういう風にはなっていくだろうと思います。
久保山 久保山さん_32x32 19世紀の「NCCO」の開発が始まっています、というプレスリリースが出たのは2004年ぐらいだったと思うのですけど、現物はどれぐらいの時期に?
CL cengage-int-logo_32x31  あれは別の先生からも聞かれて、本社に一度問い合わせたのですけど、必ずしもECCOをそのまま19世紀に、ということではないらしいです。

すでに、お使いいただいている「Times Digital Archive」とか、19世紀アメリカの新聞を集めた
「Nineteenth Century U.S. Newspapers」とか、アメリカ関係の文献集成「Sabin Collection」とか、そういったいろいろなものを集めて《NCCOのようなもの》とする計画のようです。だから、一つの統一されたデータベースになるわけではないのですが、横断検索技術の環境は段々できて きていますので、別々のデータベースでも、将来的には一緒に検索できるようにする、という段階にあるとお考えいただければと思います。

久保山 久保山さん_32x32  それが応用できればECCOの方も単独ではなくなるということですね。
CL cengage-int-logo_32x31  そうですね。19世紀になりますと、文献の数が半端ではなくなってきて しまうので、ECCOのようなやりかたで一つのコレクションを作ることは、 よほどのことじゃないとできないのでは、と考えています。
 “ECCO を使わなければ出来ない研究が多分ある”
CL cengage-int-logo_32x31  では最後に、皆さんお一人ずつ、これからECCOを使って私はこういうことをやってみたい、ということでもいいですし、あるいは、何か〈ECCOと私〉みたいな(一同笑)ことでもいいんですが。一言ずつコメントを頂戴したいと思います。では今度は、稲垣さんから。
稲垣 稲垣さん_32x32  〈ECCOと私〉ですね(笑)。僕はまだ修士に入ったばかりなので、もちろん研究にもいろいろ使っていきたいのですけれども、日常の授業でも活用したいですね。別のゼミの文学の先生も、原文にあたるのが格段にやりやすくなったということをおっしゃっていました。ですから、そういう作業もしていきながら勉強していきたいなと、その際に使っていきたいなと、思います。
CL cengage-int-logo_32x31 ありがとうございます。鰐淵さんは。
鰐淵 鰐淵さん_32x32 とりあえず、修士論文を書くこと(笑)。そのために使わないといけないので、友達にならないといけない、無理矢理にでも。あと、自分の関心のあるフランクリンにひきつけて言えば、今まで、日本ではちょっと情報量が足りなくてできないよ、と言われていたような、書物に関する研究とか、これから日本でやろうとする選択肢が全然違ってくるんじゃないかな、というのは思います。
CL cengage-int-logo_32x31 なるほど。ありがとうございます。
後藤 後藤さん_32x32 私は18世紀になると、政治的なパンフレットで大陪審に関わるようなものがたくさん出てくるので、そういうものを題材に、大陪審が18世紀にはどのように話題になってくるのかを考察してみたいと思います。
CL cengage-int-logo_32x31 ありがとうございます。
久保山 久保山さん_32x32 僕はちょっと野心的で、ECCOを使わなければできないような研究というのが多分あると思うのですね。そこで、さっき言いましたけど、言葉の使い方の変遷とか、ECCOを使わなくてもできるのですが、使えばもっと効果的に、スピーディーにできることが何かしらあると思うので、それを探して、将来的には形にして有用性をアピールしたいなと思っています。
まだアイディアをあたためている段階なのですが、いろいろなところからヒントを得て、他の人が「こういうのを使えるからできるのだな」と思うようことをやろうと思います。
CL cengage-int-logo_32x31 ぜひ、期待させていただきたいと思います。
伊東 伊東さん_32x32 僕は、自分のメインのプロジェクトは19世紀なので、まずは19世紀の、今おっしゃったような、いろいろなデータベースができるのを待ち望んでいます。あと、人間と動物との関係の変容に興味があるので、もう少し長い期間を、18世紀くらいから取って、例えば、特定の動物の名前を入れてみたりとか、18世紀から19世紀にかけて、動物観はけっこう大きく変わると思うのですけれども、そういうことを探る一つの手がかりとしたいなと思っています。
CL cengage-int-logo_32x31 ありがとうございます。
矢吹 矢吹さん_32x32 僕は実は卒業論文でやりたかったのは、黄禍論、つまり「yellow peril」なのですが、それをどうやって研究するかというときに、古い雑誌論文などを見ていくことになるのです。今あるデータベースだと、タイトルとか著者くらいでしか検索できなかったりするのですが、それを使った研究がもう出ているのですね。それで、ECCOの次の《NCCOのようなもの》が出たら、絶対それを使った網羅的な文献調査をやろうと狙っています。
とても面白いテーマだと個人的には思っています。
CL cengage-int-logo_32x31 ぜひ、がんばってください。
近藤 近藤先生_32x32 一言、僕も言っていいですか?
(一同笑)
CL cengage-int-logo_32x31 もちろん、どうぞ(笑)。
近藤 近藤先生_32x32 先に研究のテーマが決まっていて、それでECCOを100%活用しようというのもひとつの考え方なのですけれども、それとは別に、いつでもECCOが安心して使える環境になりますと、いろいろなときに思いついた言葉やキーワードを入れて、検索してみて「ああ、こういう風に出ているのか」とやってみることができます。まず、何か言葉を入れて、結果を年代順に並べてみる。
例えば、 “London Bridge” なんてやりますと、千4百いくつヒットします。全部見るわけにはいかないのですが、それにあと何を足していくと、意味のある数十件くらいのヒットになるのかな、と考える。あるいは、そのうちのいくつかだけ、18世紀の初めのものだけちょっと読んでみて、それから、18世紀のおしまいだけ読んでみて、使い方や意味が変わっているかな、という風にしてね、新しい研究テーマを探すために、ECCOでいろいろやってみると、自分のアイディアは意味のある研究になるのかどうか、ということを試行錯誤する手段として使うことができるのです。そういうことはこういうデータベースがなかったら、できなかったでしょう。
CL cengage-int-logo_32x31 好奇心から始まって、そこから研究の芽が。
近藤 近藤先生_32x32 そうそう。今のところECCOは1701年から1800年までですけど、もうちょっと長期的にね、中世のおしまいぐらいから20世紀のおしまいまで、将来いろいろなデータベースのクロス検索ができるようになると、すごく大胆な研究ができるだろう、と思います。
これまでは、キース・トマス(Sir Keith Thomas)みたいな人が、自然とか、動物とか、一種の天才的なセンスや直観でもって、いろいろな文献を「ここにあるはずだ!」と探してやっていたわけですが、それをもうちょっと普通の人も(笑)、かつ、客観性を持ってやることができる。つまりキース・トマスについては、あれは彼の思いつきでしかないんじゃないか、という批判がまだありますし、それは誰も反批判できないわけです、今のところは。それがデータベースの充実によって、新しい学問が成り立ち、これから20年経つと、まるっきり変わるかもしれないな、と思いますね。
CL cengage-int-logo_32x31 では、その〈まるっきり変えて〉くださる皆さん、
この日を忘れずに(笑)。
陰ながら、期待させていただきたいと思います。
今日は、お忙しいところ、本当にありがとうございました。
 interviewee
  (前列中央が近藤先生、後列左から、伊東さん、矢吹さん、後藤さん、久保山さん、鰐淵さん、稲垣さん)
近藤先生_75x75 近藤 和彦
こんどう・かずひこ
東京大学名誉教授
王立歴史学会フェロー(F.R.Hist.S.)
専門分野: 西洋史学
研究テーマ: ヨーロッパの政治社会、イギリス諸島の歴史、歴史学の歴史

 

伊東さん_75x75 伊東 剛史
いとう・たかし
所属:
所属:日本学術振興会特別研究員
/東京大学大学院人文社会系研究科 西洋史学研究室
 
研究テーマ:
19世紀イギリス都市における人間と動物の関係史
動物園、博物館などの公共文化施設の発展
稲垣さん_75x75 稲垣 春樹
いながき・はるき
所属:
東京大学大学院総合文化研究科 地域文化研究専攻 修士一年
研究テーマ:
イギリス近代史、ミッションの歴史、ウィルバーフォース
久保山さん_75x75 久保山 尚
くぼやま・ひさし
所属: 
早稲田大学大学院 文学研究科
研究テーマ: 
18世紀イギリス史
後藤さん_75x75 後藤 はる美
ごとう・はるみ
所属:
日本学術振興会特別研究員/東京大学大学院人文社会系研究科
研究テーマ:
17世紀イングランドにおける国家と社会
矢吹さん_75x75 矢吹 啓
やぶき・ひらく
所属:
東京大学大学院人文社会系研究科
欧米文化研究専攻 西洋史学専修 博士課程
研究テーマ:
イギリス海軍の極東・太平洋防衛構想、1880-1914
鰐淵さん_75x75 鰐淵 秀一
わにぶち・しゅういち
所属:
東京大学総合文化研究科 地域文化研究専攻
研究テーマ:
18世紀アメリカ植民地史
/18世紀フィラデルフィアにおける植民地エリートと自発的結社

 

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