自伝を通して昔の労働者の生活を知る

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昔の労働者の生活を調べるとしましょう。何に当たれば良いでしょうか。労働者の生活を描いているものとしては、同時代のジャーナリストらのルポルタージュがあります。労働者が発行した新聞や労働者が購読した新聞も重要な情報源です。また、政府が行なった貧困調査も役に立つでしょう。労働者が組合を作って活動をするようになると、その中で多くの記録を残すようになります。組合活動の記録も忘れてはなりません。組合活動や労働運動を取り締まる政府の資料は、取り締まる側の視点から見た労働者の生活を浮かび上がらせてくれます。労働者の生活を描いた小説も、フィクションながら実情を知るには欠かせないでしょう。文字資料だけではありません。絵画や写真も忘れてはなりません。

では、労働者の自伝はどうでしょう。自伝と言えば、政治家、外交官、経営者、作家、芸術家ら、著名人の自伝が普通はイメージされます。自伝と労働者はあまり結びつきません。しかし、19世紀イギリスには多くの労働者が自伝を残しているのです。さすが、『国民伝記事典』(Dictionary of National Biography)を残した伝記の国だけのことはあります。イギリスには、労働者だけの伝記を集めた『労働者伝記辞典』(Dictionary of Labour Biography)というのもあります。どうして、19世紀のイギリスで多くの労働者が伝記を残すようになったのかについては、いろいろな理由が指摘されています。まず、読み書き能力が上昇したこと。また、労働運動が活発になり、事実を後世に残す必要に迫られたこと。さらに、ジャーナリストらが労働者の生活を描くようになる中で、外からの眼でなく、労働者自身が自分の眼で見た記録を残したいとの思いが高まったことなど、様々な理由が指摘されていますが、どれも決定打とは言えないようです。

勿論、自伝を残した労働者は労働者の中でも、知識があり、読むだけでなく書く能力が備わっていたごく一部の人々に過ぎません。自伝で描かれたことを他の労働者の生活にどこまで当てはめることができるのか、という疑問がいつも付きまといます。それでも、労働者の自伝の価値は失われません。”British Politics and Society”に収録された約180篇の労働者の自伝は、彼らが何を考え、何に喜び、嘆き悲しんだか、また自分をどう見られたがっていたのか、を明らかにしてくれるでしょう。

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